雲仙地獄
うんぜんじごく
長崎県雲仙市の雲仙地獄は、大叫喚地獄やお糸地獄など30あまりの地獄から、白い噴気が音を立てて噴き上がる地獄地帯です。雲仙温泉の古湯と新湯の間に広がり、遊歩道をめぐる地獄めぐりは約60分。2月は温泉街一帯で「雲仙灯りの花ぼうろ」が開かれ、湯けむりの町に霧氷をイメージした灯りがともります。
雲仙地獄は、雲仙温泉の古湯と新湯の間に広がる、白い土(温泉余土)におおわれた一帯です。至る所から高温の温泉と噴気が噴き出し、強い硫黄の香りが漂います。噴気の最高温度は120℃。シューシューと音を立てて噴き上がる白い蒸気の中を、遊歩道でめぐります。大叫喚地獄の展望所では最も激しい噴気を間近に観察でき、噴気で土が盛り上がってできる小さな円すい形の「泥火山」も見どころです。噴気孔のまわりには白から淡い黄色の湯ノ花がつきます。雲仙の湯ノ花は、温泉水の中ではなく地表に現れるのが特徴です。
江戸時代のキリシタン弾圧では、雲仙地獄が改宗を迫る拷問の場となりました。地獄の中には、ここで殉教した人々を鎮魂する殉教碑が建っています。雲仙一帯は1934年に日本で最初の国立公園に指定された地域で、地獄めぐりの集合場所になっている石畳の「50周年記念広場」には、国立公園指定50周年の記念モニュメントがあります。
散策の途中にある「雲仙地獄足蒸し」は、足を置くと地熱や噴気を体感できる休憩所です。裸足での利用や、長い時間同じ場所に足を置くのはやけどの原因になるので避けてください。雨天や高温のときは使えません。雲仙の温泉は硫酸酸性の硫黄泉で、地獄の噴気と周りの山からの地下水が混ざり合って生まれたものです。雲仙はかつて「温泉」と書いて「うんぜん」と読まれていました。
雲仙市の月別の宿泊延べ滞在数(令和5・6年)を見ると、1月と2月は2年とも12か月のうち少ないほうから4番目以内に入ります。12月は2年とも6位で、年によっては宿泊が戻ります。雲仙観光局は秋を繁忙シーズンとしており、市の月別の宿泊では11月が3年続けて最も多くなっています。10月も2年とも5位で、宿泊の多い側の月です。
2月の楽しみは、雲仙温泉街一帯で例年開かれる「雲仙灯りの花ぼうろ」です。花ぼうろは雲仙の山々につく霧氷の地元での呼び名で、その霧氷をイメージしたイルミネーションが夕方から夜の温泉街を彩ります。期間中の特定の夜には、温泉街の中心から冬の夜空へ花火も上がります。本物の霧氷は、標高約1,100mの仁田峠など山の上で、風・気温・湿度が一定の条件を満たしたときに見られる現象で、冬ならいつでも見られるわけではありません。見に行く場合は、仁田峠循環道路が凍結や積雪で通行止めになることがある点も確かめてください。
雲仙の味は、地獄と温泉から生まれたものが中心です。地獄の中の雲仙地獄工房では、地獄で蒸した出来立ての温泉たまごを年中販売していて、「1個食べたら1年長生き、2個食べたら2年長生き、3個食べたら死ぬまで長生き」という口伝があります。温泉街の銘菓「湯せんぺい」は、小麦粉・砂糖・卵・重曹に温泉水を加えて焼き上げる、ほんのり甘くサクサクした軽い食感のお菓子です。まだ島原城にお殿様がいた明治のはじめ、温泉好きのお殿様に献上する菓子として作られたのが起源とされます。手焼き湯せんぺいで知られる温泉街の遠江屋本舗には、雲仙市産のじゃがいもの餡を黄身餡で包んだ和風スイートポテト「じゃが玉」もあります。
食事なら、雲仙温泉のご当地グルメ「雲仙ハヤシ」を。明治から昭和のはじめにかけて外国人の避暑地として知られた雲仙温泉では、カツ丼をデミグラスソースで洋風にアレンジした「ハヤシ丼」が人気でした。その歴史をもとに現代風に復活させたのが雲仙ハヤシで、長崎牛のデミカツやオムハヤシなど、店ごとにアレンジが違います。同じ雲仙市の小浜温泉まで足をのばせば、100年以上前から親しまれる「小浜ちゃんぽん」があります。長崎生まれのちゃんぽんが湯治客によって小浜温泉に伝わり、独自に進化したもので、豚骨と鶏ガラをあわせたあっさりめのスープに具がたっぷり入り、殻つきのエビが入るのが特徴です。生卵のトッピングが人気で、はじめはそのまま、後半で卵を割って黄身を溶かすと、スープがまろやかに変わります。店を探すなら、雲仙市観光ナビで公開されている「小浜ちゃんぽんマップ」が便利です。島原半島の冬には、有明海で育てられたクルマエビも味わえます(例年2月下旬ごろまで)。雲仙市の郷土食には、約200年前の雲仙普賢岳の大噴火で飢饉にみまわれたとき、「六兵衛」という村人が考えたと伝わるサツマイモの麺料理「六兵衛」もあり、鶏やカツオなどでとったダシのスープで味わいます。
見どころ
- 130あまりの地獄——大叫喚地獄の展望所で噴気を間近に
- 2雲仙灯りの花ぼうろ——例年2月、霧氷をイメージした灯りが温泉街を彩る
- 3温泉たまご・湯せんぺい・雲仙ハヤシ——地獄と温泉と避暑地の歴史が生んだ味
- 4キリシタン殉教碑——江戸時代の弾圧の歴史を伝える鎮魂の碑
混雑カレンダー
混雑ピーク — 11月
雲仙観光局が秋の繁忙シーズンとする時期。雲仙市の月別の宿泊延べ滞在数で3年続けて最多
狙い目 — 2月
例年2月は雲仙温泉街一帯で「雲仙灯りの花ぼうろ」が開かれ、霧氷をイメージした灯りに包まれた温泉街を夜まで歩ける
おすすめ訪問時期
2月がおすすめです。例年2月は雲仙温泉街一帯で「雲仙灯りの花ぼうろ」が開かれ、昼は地獄めぐり、夜は灯りの中の散策と、一日を通して楽しめます。雲仙市の月別の宿泊では、1月と2月は少ない側の月です。夜の地獄にはライトアップがないため、地獄めぐりは明るい時間に。
オフシーズンだから会える景色
霧氷は雲仙の冬の風物詩で、地元では「花ぼうろ」と呼ばれます。例年2月には雲仙温泉街一帯で「雲仙灯りの花ぼうろ」が開かれ、霧氷をイメージしたイルミネーションが夕方から夜の温泉街を彩ります。昼は地獄の遊歩道を歩いて温泉たまごで温まり、夜は湯けむりと灯りの中を散策する——冬の雲仙なら、そんな一日が組めます。
アクセス
JR諫早駅から島鉄バス「雲仙行き」で約1時間30分、「雲仙」下車すぐ
長崎自動車道 諫早ICから国道57号経由で約1時間
雲仙温泉街の有料駐車場(新湯駐車場・古湯駐車場など)
よくある質問
Q冬の雲仙地獄は歩けますか?
雲仙地獄は24時間開放されていて、入場は無料です。ただし夜間のライトアップはないため、地獄めぐりは明るい時間に。冬は気象状況によって雲仙温泉へ向かう国道57号がチェーン規制になることもあるため、車の場合は冬用の装備を用意し、最新の道路情報を確かめてください。
Q「雲仙灯りの花ぼうろ」はいつ開かれますか?
例年2月に、雲仙温泉街一帯で開かれています。霧氷をイメージしたイルミネーションが夕方から夜にかけて温泉街を彩り、期間中の特定の夜には花火も上がります。日程は年によって変わるため、雲仙観光局の発信で確かめてください。
Q雲仙地獄では何が食べられますか?
地獄の中にある雲仙地獄工房で、地獄の蒸気で蒸した温泉たまごや、温泉レモネードを販売しています。年中無休ですが、売り切れ次第終了です。温泉街では温泉水を加えて焼く銘菓「湯せんぺい」が買え、食事ならご当地グルメの「雲仙ハヤシ」があります。同じ雲仙市の小浜温泉まで足をのばせば、殻つきエビが入ったあっさりめのスープの「小浜ちゃんぽん」も味わえます。
Q雲仙地獄足蒸しはいつでも使えますか?
年中無休の休憩所ですが、雨天や高温のときは使用中止になります。裸足での利用や、長い時間同じ場所に足を置くとやけどの原因になるため注意してください。