知床五湖
しれとこごこ
世界自然遺産・知床半島に点在する五つの湖。夏は開園とともに大勢の観光客が訪れる人気スポットですが、冬は道が雪に閉ざされ、認定ガイドツアーに参加した人だけが足を踏み入れられる別世界になります。一日に入れる人数は限られ、凍った湖の上を歩ける、一年でいちばん静かな季節です。
北海道・知床半島の原生林の中に、五つの湖が点在しています。知床五湖。湖はそれぞれ一湖から五湖と番号で呼ばれ、鏡のような水面に知床連山と森を映すその景色は、世界自然遺産・知床の代表的な景観として知られています。夏の開園期間には全国から大勢の観光客が訪れ、時期によっては地上遊歩道の散策に認定ガイドツアーへの参加が義務づけられ、それでも人が絶えない——それほどの場所です。冬、この場所は一度、人の世界から切り離されます。知床五湖へ通じる道道は例年11月下旬ごろから4月下旬ごろまで冬期通行止めとなり、夏に自由散策できる高架木道も冬季は閉鎖されます。個人で訪れることは、できません。そのうえで、冬にだけ開く扉があります。例年1月下旬から3月下旬ごろ、認定ガイドの引率によるツアーに限って、雪の知床五湖への立ち入りが認められています。スノーシューを履き、ガイドとともに雪の原生林を進むと、夏には遊歩道からしか眺められなかった湖が、雪と氷の平原になって足元に広がります。凍った湖の上を歩く——夏の知床五湖では決してできない体験です。いま立っている場所が水面の上だと思い出したとき、この土地の冬の深さが、足の裏から伝わってきます。雪は音を吸い、聞こえるのは自分の足音と風の音、ときおり森で雪が枝から落ちる音だけ。晴れた日には、雪をまとった知床連山が青空を背に連なります。この季節はオホーツク海に流氷が押し寄せる時期とも重なり、白く覆われた海が視界に入ることもあります。湖も、森も、海までも凍る——それが厳冬期の知床です。雪原には動物たちの足跡が残ります。エゾシカ、キタキツネ、小さな野ネズミの点線。姿は見えなくても、この森が誰の住処なのかを、足跡が静かに教えてくれます。空を見上げれば、越冬のために北から渡ってくるオオワシやオジロワシが、木の枝や流氷の上にとまっている姿に出会えることもあります。なお、この時期は例年、ヒグマの多くが冬眠する季節にあたりますが、野生動物のことに絶対はありません。ガイドの案内のもとで歩くこと自体が、この土地を訪れるための作法です。一日に入れる人数には上限が設けられています。つまりこの季節の知床五湖には、混雑というものが構造的に存在しません。世界自然遺産の静寂が、抽選や早起きの努力ではなく、仕組みとして守られている。ツアーは事前予約が基本で、開催期間・集合方法・料金は年によって変わるため、訪問前に必ず公式サイトやガイド事業者の案内をご確認ください。
見どころ
- 1冬は認定ガイドツアー限定——一日の利用人数に上限があり、混雑という言葉が存在しない
- 2湖が凍り、雪に覆われるため、夏には立ち入れない湖の上や湿地を歩ける
- 3雪をまとった知床連山の白い峰々。晴れた日には流氷に覆われたオホーツク海が視界に入ることも
- 4雪原に残るエゾシカやキタキツネの足跡——動物たちの気配を静けさの中で追える
混雑カレンダー
混雑ピーク — 7月・8月
夏休み・ガイドツアー予約待ち
狙い目 — 2月・3月
認定ガイドツアー限定の冬。一日の人数に上限があり、凍った五湖の上を歩ける静寂の季節
おすすめ訪問時期
冬のツアー開催期間(例年1月下旬から3月下旬ごろ)の平日、晴天の日が狙い目です。晴れた日は知床連山の眺望と流氷の海に出会える可能性が高まります。ツアーは事前予約制のため、天気予報と合わせて日程を検討し、申し込み時に集合場所・送迎の有無をご確認ください。
オフシーズンだから会える景色
夏の知床五湖には全国から観光客が集まり、時期によっては地上遊歩道の散策にガイドツアーへの参加や事前のレクチャー受講が必要になるほどの人気です。冬はまったく様相が変わります。知床五湖へ通じる道路は例年11月下旬ごろから4月下旬ごろまで冬期通行止めとなり、個人で立ち入ることはできません。そのかわり、例年1月下旬から3月下旬ごろ、認定ガイドが引率するツアーに参加した人にだけ、雪と氷の知床五湖が開かれます。一日に入れる人数には上限が設けられているため、静けさが制度によって守られている——他ではほとんど例のない、条件付きだからこその狙い目です。
アクセス
JR釧網本線知床斜里駅からバスでウトロ方面へ。冬季のツアーは集合場所や送迎の有無が事業者により異なるため、予約時にご確認ください
女満別空港から約1時間20分でウトロ市街。冬季は知床五湖への道路が通行止めのため、ツアーの案内に従ってください
冬季は知床五湖駐車場は利用できません(道路冬期通行止めのため)
よくある質問
Q冬の知床五湖は、自由に散策できますか?
できません。知床五湖へ通じる道路は例年11月下旬ごろから4月下旬ごろまで冬期通行止めで、夏に自由散策できる高架木道も冬季は閉鎖されます。冬に立ち入れるのは、認定ガイドが引率するツアーに参加した場合のみです。
Q冬のガイドツアーはいつ開催されていますか?
例年1月下旬から3月下旬ごろに開催されています。事前予約が基本で、開催期間や内容は年によって変わるため、公式サイトやガイド事業者の案内で最新情報をご確認ください。
Qどんな服装・装備が必要ですか?
真冬の北海道の屋外を数時間歩くため、防寒着・帽子・手袋・雪に対応した靴が必要です。スノーシューなどの歩行装備はツアーで貸し出される場合が多いので、申込先にご確認ください。写真を撮る方は、手袋を外す時間を短くできる薄手のインナー手袋があると重宝します。
Qヒグマに遭う心配はありませんか?
冬は例年、ヒグマの多くが冬眠する時期にあたります。ただし野生動物のことに絶対はないため、必ずガイドの指示に従って行動してください。単独での立ち入りが認められていないこと自体が、この土地の安全の考え方です。