摩周湖
ましゅうこ
「霧の摩周湖」と呼ばれますが、その霧は7月から8月のものです。11月は湖が見える日が多く、人はいちばん少ない月。晴れた湖を摩周湖カムイテラスから待たずに眺め、冷えた体は山を下りて温泉とラーメンで温める——それが11月の摩周湖の過ごし方です。
摩周湖は、屈斜路カルデラの東側にできた摩周カルデラに水がたまった湖です。流れ込む川も流れ出る川もないため水が濁りにくく、1931年には透明度41.6mが観測されました。そして「霧の摩周湖」と呼ばれます。ただしその霧には季節があります。釧路沖で冷やされた海霧が内陸へ流れ込み、外輪山に囲まれた湖にたまるのが主な機序で、これが起きるのは夏です。第一展望台のライブカメラの記録では、日中に4時間以上湖面が見えた日の割合は、8月が2023年度・2024年度とも58.1%で年間の最低でした。
その8月が、弟子屈町の観光客が年間で最も多い月でもあります。令和6年度の月別入込は8月が131,299人で最多、9月107,731人、7月105,071人と続きます。最も人が来る時期と、最も湖が見えない時期が重なっているわけです。11月はどうか。入込は27,865人で、8月のおよそ2割。一方で日中に湖面が見えた日の割合は、近年2年の実測で83.3%と96.7%でした。夜空が晴れた日の割合も60.0%と53.3%で、年間では高いほうです。人が引いたあとに湖がいちばん姿を見せる——それがこの湖の実際の姿です。
第一展望台には摩周湖カムイテラスがあり、8時30分から17時まで通年で営業しています。屋上のテラスから湖を見下ろせるので、寒ければ中に入って温かいものを頼み、また出ればいい。名物のいもだんごは、地元のじゃがいもを店で皮を剥き、蒸かして練るまでを手作りしているものです。飲み物なら大豆コーヒーを。弟子屈町で栽培された大豆「ユキホマレ」から作るノンカフェインのコーヒーで、豆は町のJAでも売っています。ソフトクリームは3種類あり、そのうちの「摩周霧ソフト」は霧のかかる摩周湖をイメージしたもの。霧の晴れた日に霧のソフトを食べる、という妙な楽しみ方ができます。
山を下りたら温泉です。弟子屈町は町内に数種類の泉質の湯が湧く土地で、日帰り入浴で入れる湯がいくつもあります。なかでも川湯温泉は強酸性の硫黄泉で、弟子屈町は「北の草津」とも呼ばれる湯だと紹介しています。硫黄山の地下で熱せられた湯が温泉街を流れ、屈斜路湖へ注いでいく——湯の道がそのまま町の地形になっている場所です。温泉街には源泉かけ流しの足湯がある川湯園地があり、2024年10月には温泉川沿いを歩ける川湯岩盤テラスも整備されました。湯気の立つ川沿いを歩け、夜はライトアップされます。摩周駅前の道の駅摩周温泉にも無料の足湯があるので、電車の待ち時間にも寄れます。
冷えた体に効くものがもうひとつ。弟子屈ラーメンの総本店が、この町にあります。札幌や新千歳空港でも見かける店ですが、本店は摩周駅にほど近い摩周1丁目。公式サイトによれば、スープには摩周湖の清流を使っています。湖を見てきた日に、その水で炊いたスープを飲むことになるわけです。看板の「魚介しぼり醤油」はオホーツクのホタテ干し貝柱などを炊き込んで絞ったタレで、平成19年度の「醤油名匠」を受けています。寒風で干した鮭のとばをスープに使う「鮭冬葉塩」もあり、こちらは晩秋から冬に似合う一杯です。営業は11時から20時、休みは元日だけ。摩周駅前の道の駅摩周温泉には、地場産のそば粉を使った摩周そばも並びます。
行き方には条件があります。車がない場合、JR釧網本線の摩周駅から阿寒バスの摩周線が出ていますが、現在は1日1往復です。摩周駅前を10時30分に出て第一展望台に10時55分着、折り返しが11時25分発なので、滞在できるのは30分ほど。運行の期間や時刻は変わることがあるので、行く前に必ず確認してください。車の場合、展望台へ通じる道道52号は悪天候のときに閉鎖されることがあります。そして第一展望台から第三展望台を経て川湯へ抜ける区間は、例年10月末から11月初めに冬季通行止めに入り、翌年4月中旬まで開きません。11月に訪ねるときには、第三展望台はすでに閉まっていると考えてください。第一展望台へは弟子屈の市街地側から通行できます。
見どころ
- 1晴れた湖を待たずに見られる——11月の湖面確認率は近年2年で83.3%と96.7%
- 2摩周湖カムイテラスで、手作りのいもだんごと弟子屈産大豆のコーヒー
- 3弟子屈ラーメン総本店——スープに摩周湖の清流を使う、この町が本店
- 4山を下りれば川湯温泉——強酸性の硫黄泉は「北の草津」とも呼ばれる
混雑カレンダー
混雑ピーク — 7月・8月・9月
夏の観光シーズン。弟子屈町の月別入込は8月が年間最多で、7月・9月が続く(令和6年度)
狙い目 — 11月
湖面が見える日が多く、駐車場も無料開放される時期
おすすめ訪問時期
11月の平日午前中がおすすめです。弟子屈町の観光客がいちばん多いのは8月で、11月の入込はその2割ほどにとどまります。日中に湖面が見えた日の割合は近年2年の11月で83.3%と96.7%と高く、駐車場も11月1日から無料開放されます。午前に湖を見て、午後は山を下りて温泉とラーメンへ、という組み立てが、冷え込むこの時期にはよく合います。第三展望台は例年10月末から11月初めに冬季通行止めに入るため、11月には第一展望台のみとお考えください。
オフシーズンだから会える景色
弟子屈町の観光客がいちばん多いのは8月で、11月はその2割ほどまで減ります。ところが湖の見え方は逆でした。第一展望台のライブカメラの記録では、日中に湖面が見えた日の割合は8月が2年とも58.1%だったのに対し、11月は83.3%と96.7%。人が引いたあとに、湖がいちばん姿を見せる月が来ます。駐車場も11月1日から無料開放されます。ただし展望台のテラスは吹きさらしで、外輪山の上は朝夕かなり冷えます。だからこそ、晩秋のこの時期は、山を下りたあとの温泉と、熱いラーメンが効きます。
アクセス
JR釧網本線摩周駅から阿寒バス摩周線で約25分(摩周湖第一展望台下車)。現在は1日1往復のため、運行期間と時刻を事前に確認のこと
弟子屈市街から道道52号で約20分(第一展望台へは冬季も通行可。悪天候時は閉鎖あり)
第一展望台に駐車場あり(5〜10月は有料・11〜4月は無料開放。詳細は公式サイトでご確認ください)
よくある質問
Q11月の摩周湖は、霧で見えないのではありませんか?
逆です。霧が多いのは夏で、第一展望台のライブカメラの記録では、日中に湖面が見えた日の割合は8月が2年とも58.1%でした。11月は83.3%と96.7%です。「霧の摩周湖」という言葉の印象とは反対に、晩秋のほうが湖は見えやすくなります。ただし2年分の実測なので、その年の天候によって変わります。
Q11月はどのくらい寒いですか。温泉には入れますか?
第一展望台は外輪山の上にあり、テラスは吹きさらしなので、朝夕はかなり冷え込みます。防寒はしっかりしてきてください。そのぶん温泉が効きます。弟子屈町は日帰りで入れる湯がいくつもあり、川湯温泉の強酸性の硫黄泉のほか、川湯園地や道の駅摩周温泉には無料の足湯もあります。湖で冷えて、湯で温まるという一日が組めます。
Q車がなくても行けますか?
JR釧網本線の摩周駅から阿寒バスの摩周線が出ていますが、現在は1日1往復です。摩周駅前を10時30分に出て第一展望台に10時55分着、折り返しは11時25分発なので、滞在できるのは30分ほどになります。運行期間や時刻は変わることがあるため、必ず事前に確認してください。なお弟子屈ラーメンの総本店や道の駅は摩周駅の近くなので、バスの前後の時間はそちらで過ごせます。
Q第三展望台にも行けますか?
11月は行けません。第一展望台から第三展望台を経て川湯へ抜ける道道52号の区間は、例年10月末から11月初めに冬季通行止めとなり、翌年4月中旬まで開きません。第三展望台からの眺めを見たい場合は、開通している時期に合わせて計画してください。第一展望台へは弟子屈の市街地側から通年で通行できます。